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生体認証システムは元々、一部の政府機関や研究所などで使用されてきましたが、近年スマートフォンにも指紋や顔といった生体認証システムの導入が進んでいます。
なかでも【3782】ディー・ディー・エスの開発する指紋認証アプリが金融システムに採用されたことをきっかけに、生体認証関連銘柄が市場の注目を集め、株価は一時4倍に迫る動きを見せました。
今回は6種類ある生体認証システムの仕組みや、過去の材料と値動き、主な生体認証関連銘柄を取り上げていきます。
1.生体認証の高いセキュリティシステムと仕組み
生体認証とは、ロックを解除する際などに人体の身体的、行動的特徴から本人確認が行われる認証のことで、いわば人間の体がパスワードとなるセキュリティシステムです。
1-1.実用化が進む生体認証システムの6種類
生体認証システムはバイオメトリクスとも呼ばれ、技術の進化によって身の回りでも利用される機会が急激に増えてきました。
主な生体認証としては以下の6種類が挙げられます。
- 指紋認証 :指紋により生体認証を行う
- 指静脈認証 :指の静脈により生体認証を行う
- 顔認証 :顔全体を読み取り生体認証を行う
- 声紋認証 :声の周波数声により生体認証を行う
- 虹彩認識 :瞳の虹彩により生体認証を行う
- 網膜スキャン:網膜パターンにより生体認証を行う
生体認証が一般的に普及することでどのような利便性が生まれるかと言うと、パスワード認証が不要になったり、本人確認書類が不要になります。
今まで利用されていたパスワード認証の場合、単純なパターンなどから他人に推測されるといった問題を抱えていました。
そのパスワードを利用した犯罪、個人情報漏洩などを防ぐために生体認証が利用され始めています。
スマホやPCに搭載されたことで身近な存在となり、現在は住宅の鍵や金庫開閉の際にも使用されるなどより浸透してきています。
2017年10月には指紋認証だけで決済可能な訪日客向け「タッチ&ペイ」が運用再開され、オリンピックに向けた普及拡大が期待されるでしょう。
そのほかイオン銀行が指紋や静脈で本人確認を行うことにより出入金が可能となるサービスを開始。
これらの生体認証サービスを開発している「リキッド」は、【4324】電通や【8001】伊藤忠商事、【8253】クレディセゾン、【8411】みずほフィナンシャルサービスなどが出資するベンチャー企業。
【8794】トレイダーズホールディングスとも合弁会社を設立し、ハウステンボス通貨を運営するなど、金融サービスでも生体認証が注目されているのです。
生体認証システムは現在、様々なシーンでの実用化が急速に進んでいます。
1-2.身近な所で生体認証が利用され始めている
2017年の生体認証に関する大きなニュースと言えば、顔認証システムが搭載されたiPhoneXの発売や、羽田空港に認証ゲートが設置されたことなどがあります。
米Apple社のiPhoneはこれまでも生体認証システムを導入してきました。
指紋認証「Touch ID」により指の指紋から本人確認を行い、スマホのロックを解除、決済などが可能です。
新作iPhoneではその指紋認証にかえて顔認証システム「Face ID」を採用。
それらの噂から顔認証関連銘柄が賑わいました。
また、東京オリンピックに向けて、訪日外国人の出入国に生体認証システムで対応できるようにしたいと法務省が表明したことも、生体認証関連銘柄を後押し。
海外でもヨーロッパ、米国などでもセキュリティ面の強化を図る顔認証システムがテロ警戒のため導入が進んでいます。
その他として、2019年春にはディズニーランドが年間パスポートを持った顧客に対し、顔認証システムの導入を開始すると発表しています。
また、ライブチケットの代わりとしてコンサート会場への入退場に採用されるなど、生体認証システムは今後ますます活躍の場を広げていくことでしょう。
これらの報道により、2017年は生体認証システムが注目を集め、株式市場では1つのテーマとして大いに盛り上がった1年でもありました。
新たな技術として浸透しつつある生体認証は、今後世界的に急拡大していくと思われます。
★注目ポイント1 |
生体認証の中でも指紋・顔認証システムは実用化が進んでおり、プラス材料となりやすいニュースが多いため要チェック。 |
2.企業への導入が加速する生体認証関連銘柄の推移
認証システムの導入が報じられるたび注目を集める、生体認証関連銘柄の動向を見ていきましょう。
2-1.突如ストップ高!受注拡大により業績好調
2016年12月8日、指紋認証シフトの開発を手掛ける東証マザーズの【3782】ディー・ディー・エスが突如ストップ高をつけました。
同社のオンライン認証ソリューション「マガタマ」が認証基盤構築サービスに採用され、大手企業から受注が入るとの内容に物色が向かいました。
直前には株価294円の安値をつけていましたが、ストップ高をつけたこの日から上昇トレンドを形成し、わずか3か月で4倍の値をつけるほど躍進。
その後も販路拡大による新規顧客の獲得や、生体認証を中心とする多要素認証セキュリティの受注、三井住友信託銀行への導入など好調を続けています。
2-2.空港の審査ゲート採用の思惑で前日比38%上昇
2017年7月4日、法務省が羽田空港の入国審査で10月から顔認証技術を使った自動ゲートを先行導入すると報道されました。
これにより以前、空港での顔認証ゲート実証実験に参加実績のある生体認証関連銘柄の【6675】サクサホールディングスが思惑買いされ急伸。
前日比38.5%の高値2,880円つける大幅高を見せましたが、このとき実際に導入されたのは【6752】パナソニックの顔認証ゲートでした。
審査手続き簡素化により人員確保やテロ対策強化の狙いがあり、各空港への導入も検討されているため再燃する可能性は大きいでしょう。
★注目ポイント2 |
生体認証関連銘柄は今後も銀行や空港、スマートフォンなどでの普及拡大が見込まれているため業績向上への寄与が期待される。 |
3.主要生体認証関連銘柄チェックリスト
生体認証関連銘柄より厳選した注目株をチェックしていきましょう。
銘柄 | 株価 | 主なサービス |
【2676】高千穂交易 | 1,196円 | 指紋認証、虹彩認証のシステム開発 |
【2703】日本ライトン(★低位株) | 306円 | 指紋認証システム特許取得 |
【3799】キーウェアソリューションズ | 632円 | 指紋認証・指静脈認証。筆頭株主はNEC |
【3837】アドソル日進 | 1,254円 | ハンズフリー認証システム |
【3913】sMedio | 1,695円 | 富士通ロボットAIプラットフォームに顔認識AIエンジン提供 |
【6501】日立製作所 | 930.8円 | 指静脈認証ソリューションの研究・開発 |
【6503】三菱電機 | 2,175.3円 | 認証デスクトップツールを開発 |
【6627】テラプロープ | 1,273円 | 顔認識モジュール「Tera Faces」を開発 |
【6662】ユビテック(★低位株) | 447円 | 生体認証モジュールを手掛ける |
【6675】サクサホールディングス | 2,198円 | セキュリティに強い、顔認証システムの実証実験にも参加 |
【6701】NEC | 3,105円 | 顔認証ソリューション「Neo Face」を開発 |
【6702】富士通 | 805,6円 | 「非接触型の手のひら静脈認証」を開発 |
【6703】OKI | 1,577円 | 地銀と共同で生体認証による本人確認を実証中 |
【6752】パナソニック | 1,696.5円 | 顔認証システムを開発。羽田空港の顔認証ゲートに導入 |
【6945】富士通フロンティック | 1,942円 | 富士通の「非接触型の手のひら静脈認証」を販売 |
【8081】カナデン | 1,562円 | 顔認証システムソリューション技術を構築 |
※株価は2018年1月19日終値で算出
★注目ポイント3 |
生体認証関連銘柄の中でも、材料によって吹き上げている場面が多い低位株の日本ライトンやユビテックは、今後も短期的な急騰は十分に見込める。 |
4.生体認証関連銘柄上昇率ランキングTOP3!
過去1年間の安値から高値までを算出し、最も上昇率の高かった生体認証関連の上位3銘柄を発表致します。
※2017年1月19日~2018年1月19日の1年で算出
4-1.第1位【3782】ディー・ディー・エス
上昇率 | 3.4倍(安値:408円 → 高値:1,396円) |
市場 | 東証マザーズ |
RSI | 59.71(やや買われている) |
4-2.第2位【3773】アドバンスト・メディア
上昇率 | 2.8倍(安値:706円 → 高値:2,029円) |
市場 | 東証マザーズ |
RSI | 55.04(売り買い均衡) |
4-3.第3位【8704】トレイダーズホールディングス(★低位株)
上昇率 | 2.7倍(安値:133円 → 高値:365円) |
市場 | ジャスダック |
RSI | 62.22(やや買われている) |
※RSIは2018年1月19日終値より算出
★注目ポイント4 |
新興市場の低位株に激しく物色が向かっており、とくに2013年頃の高値に迫る勢いで現在も上昇中のアドバンスト・メディアに注目したい。 |
5.まとめ
生体認証システムがスマホに導入されるなど身近なものになってきたとは言え、これからが本格的な生体認証の導入が見込めます。
今後さらに普及拡大していくにつれ、生体認証関連銘柄も注目テーマに浮上することが予想されるため目が離せません。
将来的には顔認証・網膜認証が主流になる可能性も否めませんので、周辺の生体認証関連銘柄は大化けの可能性もあります!
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