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今回は、リチウムイオン電池に代わる次世代電池として注目される「空気電池」にスポットをあてます。
空気電池と言えば、プラス極の活物質に空気中の酸素を使うことによって、リチウムイオン電池に比べて大容量・小型化・軽量化が可能というメリットを持ちます。
ただ、充電サイクル寿命が短いなど実用化に向けて大きな課題が残っていました。
しかし、2019年3月に電池メーカーのFDKが空気電池の高寿命化に成功したと発表したことで、実用化の目処が立ったことから注目されています。
そんな「空気電池関連銘柄」について詳しく解説していきますので、注目してみましょう!
1.空気電池の過去
次世代電池として期待される空気電池に注目していきましょう。
1-1.空気電池とは?
燃料電池の一種として分類され、「金属空気電池」とも呼ばれます。
現時点での空気電池は、シールで密封された状態で提供され、使用開始時にシールを剥がして空気穴を開けることで放電が始まる乾電池形式のものが利用されるに留まっています。
マイナス極の活物質を補充することで燃料電池として使うことができると期待されており、EV(電気自動車)向け用途などで研究が進められています。
プラス極の活物質は空気中の酸素を使えば良いため補充する必要がなく、電池容器内の大部分の空間にマイナス極に使う金属活物質を大量に充填できるため、放電容量を大容量化することが可能です。
このため、リチウムイオン電池などと比べて、大容量でかつ小型化・軽量化を実現することが可能になると期待されています。
また、マイナス極の活物質に使われる金属は、亜鉛やアルミニウムなどの埋蔵量の多い物質であり、地球環境やコストの面でも有利となります。
多くのメリットがある空気電池ですが、正極で空気中の酸素を活用するエネルギー効率が悪く正極の高性能化が必要なこと、二次電池として使うには充電サイクル寿命が短いなど、実用化に向けた課題は山積しています。
1-2.2018年までの空気電池の動向
世界的なEVシフトが進む中、リチウムイオン電池や全固体電池などはEV関連銘柄としても注目テーマとなっています
しかし、空気電池は長らく注目されないテーマであり、マーケットでもスポットが当たることはほとんどありませんでした。
過去に空気電池関連で動意づいた銘柄としては、チタン製錬大手の【5727】東邦チタニウムが挙げられます。
2017年11月8日付けの日本経済新聞朝刊で、「韓国サムスン電子は電機業界で究極の充電池と呼ばれる『リチウム空気電池』を開発する」と報じられました。
このニュースを受けて、空気電池の部材を開発している東邦チタニウムが物色されました。ニュース発表前には969円を付けていた東邦チタニウムの株価は、2日後には1,113円にまで上昇。このニュースによる資金流入も一つのきっかけとなり、2018年2月には1,888円の高値を付けました。
空気電池関連で物色されてから3ヶ月で約2倍近くにまで上昇しましたが、その後は売られており、2019年3月現在は950円前後まで値を戻しています。
★注目ポイント1 |
空気電池とは、空気中の酸素を活物質として使える電池。リチウムイオン電池に代わる次世代電池として注目されているが、実用化には多くの課題が残る。 |
2.空気電池の現在
空気電池の最新動向や注目企業を抑えておきましょう。
2-1.空気電池の最新動向
2019年には、中国でEVを社会に普及させるためのNEV規制が始まっていることから、世界的なEV開発競争が激化しており、この流れの中で空気電池の開発も進むものと見られます。
また、あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT時代には、より高性能・大容量・小型化した電池の需要が高まることも確実です。
特に、2019年にはIoTの普及に欠かせない社会インフラである次世代通信規格「5G」の運用が本格化し、IoT機器に搭載される高性能電池が求められています。
空気電池は中長期的に注目されるテーマにはなっていませんでしたが、「5G」の普及による社会のIoT化を受けて注目テーマになってもおかしくありません。
2019年3月18日には、富士通系の電池メーカーである【6955】FDKが、空気電池の最大の課題の一つである二次電池としてのサイクル寿命を大幅に向上させる技術を開発したと報じられストップ高となりました。
FDKは水素を使った空気電池の3年後の実用化に目処を付けたとされ、充放電を500回繰り返しても、性能の低下は1割以下に抑えたとされています。
現在スマホに使われているリチウムイオン電池は、充放電を2年間で500回ほど繰り返すと充電性能が大幅に劣化することは多くの人が経験していることであり、空気電池に大きな期待が集まります。
2-2.空気電池に力を入れている企業をピックアップ!
空気電池に力を入れている企業を見ていきましょう。
前述した【6955】FDKは、二次電池としての空気電池の実用化に目処を付けたとされ、空気電池関連銘柄を代表する銘柄になると期待されます。
2017年に、韓国サムスン電子がリチウム空気電池開発のニュースで大きく買われた【5727】東邦チタニウムは、空気電池材料を手掛ける銘柄として注目です。
非常用マグネシウム空気電池「WattSatt」を製造・販売している【5121】藤倉ゴム工業、マグネシウム空気電池「MgBOX」を製造・販売している【6937】古河電池も抑えておきましょう。
両製品は災害時の発電機としても注目されており、民生品の空気電池においては、藤倉ゴム工業の「WattSatt」と古河電池の「MgBOX」が2強となっています。
EV向けの空気電池としては自動車メーカーにも注目が集まりますが、【7267】ホンダは2014年時点で金属空気電池の特許数で世界トップであると報じられています。
★注目ポイント2 |
EVシフトやIoT社会の到来を背景に、空気電池には大きな注目が集まる。マーケットでも中長期的に注目されるテーマになるか!? |
3.空気電池関連銘柄リスト
2019年に注目の空気電池関連銘柄リストを見ていきましょう。
3-1.注目の空気電池銘柄紹介
銘柄 | 株価 | 主なサービス |
【4026】神島化学工業 | 784円 | 空気電池のマイナス極部材(マグネシウム) |
【5121】藤倉ゴム工業(低位株★) | 435円 | 非常用マグネシウム空気電池「WattSatt」 |
【5727】東邦チタニウム | 942円 | 空気電池のマイナス極部材 |
【5940】不二サッシ(低位株★) | 88円 | 子会社の不二ライトメタルがマグネシウム空気電池 |
【6937】古河電池 | 695円 | マグネシウム空気電池「MgBOX」 |
【6955】FDK | 1,025円 | 水素を使う空気電池 |
【7203】トヨタ自動車 | 6,610円 | 金属空気電池の開発 |
【7267】ホンダ | 2,962.5円 | 金属空気電池の開発 |
【7995】バルカー | 2,200円 | 空気マグネシウム電池用正極材 |
【9432】NTT | 4,760円 | リチウム空気二次電池技術 |
※株価は2019年3月25日終値で算出
★注目ポイント3 |
空気電池関連銘柄は、電池メーカーや電極部材メーカーが挙がってくる。関連銘柄の数はまだ少ない。 |
4.まとめ
空気電池は、長らくマーケットで中長期的に注目される強いテーマ株にはなっていませんでしたが、技術のブレイクスルーがきっかけとなり注目テーマになってもおかしくはありません。
特に、FDKが、空気電池の最大の課題となっていた二次電池としてのサイクル寿命を大幅に向上させる技術を開発したニュースには期待です。
空気電池は、EV向け、IoT機器向け、いずれの用途においても注目されると思われますが、現時点ではIoT向け用途の方が有利である印象を受けます。
以上のことから、空気電池関連銘柄には重要テーマが絡んでいますので更なる材料に期待し、注目しておきたいところです。
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